会長の時間

日出ＲＣ会長　加賀山茂

「エコと多様性の江戸文化」

Ⅱ　浮世絵原画と原告作品の表現上の異同（第2回）

　江戸時代の風俗考証画で有名な三谷一馬ですが，裁判によって，自分の作品を著作権法によって保護するよう求めるためには，自分（原告）の作品が，模写した浮世絵の原画と同じではなく，原画に筆を加え，そこに個性的な創作的表現を付加する必要があります。
　そこで今回は，原告の絵画と浮世絵原画の「焼き継ぎ屋」を比較することによって，原告の絵画に，新たに別の創作的表現を感じることができるかどうかを検討することにします。

１．共通点

原告の作品は，浮世絵の原画を模写したものであるため，多くの共通点が存在します。肩にかけた天秤，天秤の先につるした箱に書かれた文字（やきつぎ，焼継），焼き継ぎ屋の服装，姿勢は，両者ともほぼ同じです。

原告絵画	浮世絵原画

２．相違点

　　(1) 焼き継ぎ屋の顔の向き
　原告絵画では，焼き継ぎ屋は，横を向いていますが，浮世絵原画では，横の上方に向いています。上方の「茶碗の幽霊（化け物）」を見て驚いているからです。

　　(2) 焼き継ぎ屋の右手
　原告絵画では，右手を天秤から下げた紐をしっかり握っていますが，浮世絵原画では，右手が紐から離れています。「茶碗の幽霊（化け物）」を見て，びっくりしているからです。

　　(3) 焼き継ぎ屋の左足
　原告絵画では，焼き継ぎ屋の左足は前向きですが，浮世絵原画では，「茶碗の幽霊（化け物）」にびっくりしたため，横向きで立ち止まっています。


３．総合評価
　原告の絵画と浮世絵原画との間には，共通点も相違点もあるため，原告の絵画が，浮世絵原画の単なる模写ではなく，著作権法上の「二次的著作物」として保護されるためには，原告の絵画が，その本質的特徴において，浮世絵原画とは別の創作的表現を感じさせものであることが必要です。その判断をする際に，決め手となるのは，原告の創作的意図と原画の本質的特徴といえる原画の作者の意図との明確な違いです。

　　(1) 原告の創作の意図
　原告絵画2は，江戸風俗を描くことを目的としており，本件原画2を参考にしながらも，焼継屋が荷箱をつるしたひもを握ったように右手を描き直すという意図的かつ極めて重要な変更をしています。
　さらに，本件原画2は，化け物に驚いて右足も浮き足立った様子が描かれていますが，原告絵画2は陶器が揺れて壊れないように，左足も大股で歩く様子で描き直されています。

　　(2) 浮世絵原画の作者の意図
　浮世絵原画2の題名は「番頭空屋敷」となっており，10枚の貴重な皿の1枚を割ってしまい，主人に咎められて井戸に身を投げた「お菊」が幽霊となって，皿の数を「一枚，二枚，…九枚」と数える怪談「番町皿屋敷」をもじった題名です。「お菊」は主人を恨む幽霊とは違って，皿が復元できていたら死なずに済んだという思いで，井戸から出てきています。幽霊の顔を見てみると，女のお菊の顔ではなく，欠けた茶碗です。つまり，この幽霊は，心は，「お菊」ですが，体は，茶碗のお化けであり，手には，割れた茶椀のかけらをもっています。そして，「焼き継ぎ屋」に「申し，申し，小瓶の欠けを焼き継いでくんな。」と，身投げをせずに済んだはずの方法としての茶碗の焼き継ぎ（修復）をお願いしています。

　　(3) 裁判所の判断
　(1) 本件原画2と原告絵画2は，いずれもともに天秤棒から二つの箱をつるして歩きながら後ろを振り向いている焼継師の後ろ姿が描かれている点で共通する特徴的表現を有する。

　(2) しかし，本件原画2においては，古井戸から飛び出した幽霊に驚く焼継師の様子を描くという主題に基づいて，その右手を天秤棒のひもから離した様子や首をすくめた様子を上記のように描いている点がその特徴的表現の一つであるのに対し，原告絵画2においては，江戸時代の町人の風俗や生活振りを描くために，焼継師が天秤棒に二つの木箱をつるして普通に歩く様子を描写しているものであり，このため右手及び首の具体的表現を上記のとおり変更したものである。

　(3) 原告絵画2は，本件原画2における特徴的表現部分の一部をそのまま利用しながら，その特徴的表現の他の部分を変更し，江戸時代の町人の風俗の再現を意図した表現となっており，この点で新たに亡一馬による創作性が付与されているものと認められ，原告絵画2は，本件原画2の二次的著作物として，その著作物性が認められるものである。

（第３回につづく）

幹事報告

本日の予定

• 会員卓話　阿部真二会員『新しい交通ルールについて』
• 第１２回定例理事会

本日のゲスト

• 杵築日出警察署長　赤峰俊彦様

次週の予定

• ５月２１日（火）クラブ創立４０周年記念式典の準備（例会場 鈴木病院）

今後の予定

• ５月２８日（火）クラブ創立４０周年記念式典　リハーサル（城島高原ホテル 予定）
• ６月　２日（日）クラブ創立４０周年記念式典（城島高原ホテル　昼12時30分受付開始）

今週の配布物

• ガバナー月信　５月号
• 財団室ＮＥＷＳ　５月号

今週の回覧物

• なし

お知らせ

• （*）４月２６日（金）　別府ロータリークラブへ訪問
  　　出席：加賀山茂会長、鈴木貫史幹事
• （*）４月２７日（土）　別府東ロータリークラブ創立４５周年記念式典
  　　出席：加賀山茂会長、鈴木貫史幹事、臼杵德二副幹事、山田滋彦会員、
  　　　　　吉弘秀二会員、秋吉尚康会員、佐藤英隆会員、奥村元一会員、石和桂子会員、
  　　　　　阿部真二会員、梶原直樹会員、石田正美会員
• （*）５月１１日（土）城下かれいまつり
  　　出席：加賀山茂会長
• （*）５月１３日（月）大分１９８５ロータリークラブへ訪問
  　　出席：加賀山茂会長、鈴木貫史幹事、臼杵德二副幹事
• 地区大会
  　　５月１７日（金）
  　　　ガバナー補佐・会長・幹事会議　午後４時４５分〜 パトリア日田
  　　　希望交流会　　　　　　　　　　午後６時４０分〜 小京都の湯みくまホテル
  　　　登録：加賀山茂会長、鈴木貫史幹事
  　　５月１８日（土）
  　　　本会議　　　　　　　　　　　　昼１２時３０分〜 パトリア日田
  　　　登録：加賀山茂会長、鈴木貫史幹事、佐藤雪副会長、臼杵德二副幹事、吉弘秀二会員
• 会長ノミニー（2025～26年度会長）研修セミナー（申込期限５月１５日（水））
  　　日時：６月　８日（土）午後１時～　懇親会：午後６時～
  　　場所：熊本城ホール
• ２０２４-２５年度　第２回大分第３グループ会長・幹事会
  　　日時：６月１３日（木）午後６時３０分～
  　　場所：ホテル別府パストラル

---

例会変更

別府RC	5月17日（金）の例会は変更のため、両築別邸にてMU受付します
湯布院RC	5月21日（火）の例会は休会します
中津RC	5月22日（水）の例会は職場例会のため、割烹たはら へ変更します
	5月29日（水）の例会は夜例会のため、18:30～鬼太郎へ変更します
大分臨海RC	6月 3日（月）の例会は休会します
大分RC	6月 4日（火）の例会は休会します
	6月11日（火）の例会は休会します
大分1985RC	6月24日（月）の例会は休会します
大分中央RC	6月25日（火）の例会は休会します
大分城西RC	6月26日（水）の例会は休会します
大分南RC	6月28日（金）の例会は休会します

ニコボックス

佐藤 雪会員（Ｗ）：	誕生日にクラブよりお花を頂きました、ありがとうございます。